警官ロボに完璧な人工知能を。映画『チャッピー』ネタバレ&感想

「この奥にあるものを ママは愛しているの」

『第九地区』のニール・ブロムカンプ監督作!
ずーーーーーーーーっと観たくてチェックしていたのにずーーーーーっと後回しにしてしまっていました。ようやく観れたー!!

何気に本作は出演陣がすごい・・・ブロムカンプ監督お気に入りのシャールト・コプリー、チャッピーを開発する科学者に『LIONライオン 25年目のただいま』『スラムドッグ・ミリオネア』のデブ・パテル、敵役には『グレイテスト・ショーマン』のヒュー・ジャックマン・・・ちょい役に大御所シガニー・ウィーバーも・・・。

そして上記以外の重要な役どころにアーティストの二人がアーティスト名そのままに出演しているという奇抜なキャスティングも良いですね!

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【映画情報】

【原題】Chappie
【制作国】アメリカ
【監督】二―ル・ブロムカンプ
【脚本】ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル
【製作】ニール・ブロムカンプ、サイモン・キンバーグ
【製作総指揮】ベン・ワイスブレン
【撮影】トレント・オパロック
【美術】ジュールス・クック
【編集】ジュリアン・クラーク、マーク・ゴールドブラット
【音楽】ハンス・ジマー
【出演([]内は役名)】

  • シャールト・コプリー[チャッピー]
  • デブ・パテル[ディオン・ウィルソン]
  • ニンジャ[ニンジャ]
  • ヨ―ランディ・ビッサー[ヨ―ランディ]
  • ホセ・パブロ・カンティージャ[ヤンキー(アメリカ)]
  • ヒュー・ジャックマン[ヴィンセント・ムーア]
  • シガニー・ウィーバー[ミシェル・ブラッドリー]
  • ブランドン・オーレ[ヒッポ]

【公開日(日本)】2015年5月23日
【上映時間】120分
【配給】ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント
【映倫区分】PG12
【IMDB】6.8/10.0  (およそ201,700人の評価)

【あらすじ】

2016年、南アフリカのヨハネスブルグでは、テトラバール社の開発した警察ロボットが配備されて注目を集めていた。ロボット開発者のディオンは、自ら考え、感じる人工知能(AI)を独自開発し、スクラップ寸前の1台のロボットに密かにAIをインストールしようとする。しかし、その矢先にストリートギャングに誘拐されてしまい、AIをインストールして起動したロボットは、ギャングの下でチャッピーと名付けられ、ギャングとしての生き方を学び、成長していく。そして、ディオンのライバルでもある科学者ヴィンセントにチャッピーのことが知られ、その存在を危険視するヴィンセントによって、チャッピーは追い詰められていく。【引用元:映画.com

【感想(ネタバレしています!)】

☆3.9/5.0

面白かった!!!!!しかし、脚本に穴の多い映画だとは思います。

ちびぞうがまず思ったのは、人間は本当にエゴの塊だなぁということ。
スカウトの科学者ディオンも、ムースの科学者ヴィンセントも、善と悪のようなキャラクターに見せかけて実はどっちも己の創造物や社会的成功に固執した身勝手なキャラクター。
その二人だけでなく、人間側にまともな人が一人もいない!!!

そもそも科学者が完璧な、まるで人間のようなAIをロボットに組み込もうとするってとても残酷な事じゃないですか。人間だって生きていくの大変なのに、自我を持ったロボットが幸せになれる展開なんてほとんど考えられないし。
科学者がロボットを生み出すのって子孫を残す事と同じことだと思うんですよね。だから、現実に人間を一人産み落とすのと同じくらいの重い責任があると思う。

これで悲しいオチになるのは絶対に許せないし、今作を観ながら科学者のディオンくんには「最後まで責任もてよ」と思ったものです。

一応、話の流れとしてはチンピラたちに拉致られて脅されて仕方なくチャッピーを作り上げたかのように見せてるけど、ほっといても彼はやっただろうし、「誤魔化そうとしてもだめだぞ!」って感じでしたね。

そして予想できる部分も多い。

例えば、チャッピーを生み出したディオンのライバルであるヴィンセントは、自分の開発しているムースというロボット(これには人工知能を付けず、人間が操るという仕組み。彼は宗教的な理由からロボットは人間が操るべきだと思っている)を自分の会社に認めさせたいけど、認めてもらえない。
警察側にムースは使えないとぼろくそに言われて、「よほど治安が悪化しない限りは必要ない」って言われるシーンで「まさか自分で治安を悪化させるつもりではなかろうな?」と思ったら本当にそうしたー!とか、悪者だったチンピラたちと家族になっていく中でチンピラ側にも人間的な変化が起きるんでないかと想ったらやっぱり改心したー!などなど。

それから、ツッコミどころも多かった。

チャッピーに死の概念をもたらすのは胸のバッテリー問題
胸のバッテリーが切れたら死ぬってアイアンマンみたい。あっちにはちゃんと理屈があるけど!

いやいやいやいや、「完全なるAIを開発したディオンくんがバッテリー問題なんかなんとかできないわけがないやん」とか「別に機械って電池切れただけでは死ななくない?致命的なエラーが起きて内部から破壊されるとかならわかるけど・・・」といった科学の知識なんか何もないズブの素人のちびぞうですらうっすらと思ってしまう。

更に物語が進んでいくとチャッピーが自分で自分の死を回避するために「意識をデータ化して、新しいボディに移そう!」という計画をやり始めるんですが、それをコソコソと実行する場所は廃墟で、しかもどこから盗んできたかも分からないようなパソコン数台を使っておこなう!
いや、なんかよく分からないけどそういう人類史上最大の発明!みたいなことをするにはスーパーコンピューターだったりだとかまぁそれでなくてもちゃんとした設備の整っているところでやらないと熱処理の問題とか色々あるのでは・・・(つまり単純にできなくない?)と思ってしまう。

しかも最終的には、撃たれて致命傷を負ったディオンを新しいボディに移し替えるとかいうとんでも展開が待っている・・・えぇ、まさか人間がロボになるオチだなんて・・・これって軽いホラーなの???と思ってしまいましたね。
まぁ、身勝手な科学者が最終的に自ら作ったロボによってその業を背負わさせられる、みたいな構図だと思えば

「見事に責任を取らされてる」

わけなので、序盤で責任とれよ!と思っていたちびぞう的には納得なんですけど(笑)

でもそうすると”ママ”ことヨ―ランディの扱いが微妙になってくるんだよなぁ。死者の生前コピーしておいた意識を移すってことは、死ぬ直前のヨ―ランディとは別の人間になってしまってない・・・?と思ってしまうし、なんだか哲学的なことをウダウダと考えさせられてしまう・・・。
しかも、やっぱり安易に助けたいからって死者を蘇らせるようなことをするのはどうなのか。とも思いますし。

良かった点!

散々ツッコミ入れたけどなんだかんだ泣いたシーンもあったし、ここから褒めのターン!!!

個人的に、監督は人間ではないもので人間を表現するのが上手だなって思います。

例えば序盤、チャッピーがまだ赤ちゃんと同様な知識しか持たないころ、ニンジャが「現実世界を見せてやる」とバンに乗せて悪ガキたちが集まる場所にチャッピーを置き去りにする。

すると、チャッピーの姿は警察のそれなもんだから、悪ガキたちはチャッピーをぼこぼこにしてしまう。

「どうしてこんなことを?やめて」というチャッピーを観ていて本当に悲しくて、涙が止まりませんでした。観るのやめようかなって思ったくらい。

警察と言う見た目だけで襲われるチャッピーは、これが現実なんだと身をもって教えられる。
まさしく”人種や見た目で判断され虐げられる現実世界”を知って育っていく人間そのもの。痛々しくて見ていられない。

しかしその反面、ママ役のヨ―ランディには「見た目なんて関係ないの。この(胸の)奥にあるものをママは愛しているのよ」と、魂の在りかと愛とは何かを教わる。悪者だけではない愛のある世界も学んでいく。

こういったロボットが自我持つ系の映画では「ロボがいかに人間を超越していくか」という不変のテーマがあると思うんですけども、そしてちびぞうはそういう部分が大好きなんですけども、チャッピーは見事に人間となっていく。その過程がすーーーーごく上手に描かれてる!

終盤でママを殺され、怒りに身を任せてヴィンセントをぼこぼこに殴りつつ「暴力はよくない!!」と叫ぶ矛盾が人間らしかったり、最後には「でも僕は許すよ」と赦しを与えている・・・これは、人間でもなかなか出来る人って多くないと思うんです。殺したいほど憎い相手を許すことって本当に難しい。
ちびぞうはこのシーンを見て「ああチャッピーは完全に人間という存在を超えたな」と思いました。

そして、さっきのツッコミを入れたホラーまがいなラストシーン。

これはある意味でバッドエンドとも取れますよね(実際ちびぞうはホラーかなって思った)。だって、ロボットの体に蘇ったって、あの世界では特に、その先の生活には苦悩しかないって予測できる。

でも、このバッドエンドって、チャッピーがした選択って、生みの親のディオンが最初にチャッピーにしたことと全く同じなように思えるんです!
自分の信じる”正義”や”よいと思う事”、”理想とする世界”を実現させるために、自分の一存だけで人間の意識をロボットにコピーしてしまう。

このエゴ!!!まさに人間じゃないですか!!!!

す、すごい・・・監督は見事にロボを人間に育て切ってしまった・・・そしてそのエゴを人間に還すというループ構造(?)・・・。

まとめ

自分でもびっくりしたんですけど、最初は実は3.0だった評価が、感想を書いているうちに気持ちが盛り上がってきてしまって(笑)

結果的にここまで書いたら評価が3.9まで上がってしまいました(笑)

いやー、一回観ただけでは魅力がわかりづらい!何度も考えているとだんだん味が出てくる・・・そんなするめのような映画ですね!!

やっぱりちびぞうは、ニール・ブロムカンプ監督の作品が好きです!!!

巷では色々と賛否両論パッカリなようですが、とりあえず!とりあえずでいいので!チャッピー可愛いし!ロボットやAIをテーマにしたSF好きさんにはぜひ観てもらいたい一本です!(笑)


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