ヨーロッパでは特に「温泉を飲む」、すなわち飲泉が温泉文化として深く根付いており、カルルス温泉の由来にもなった有名なカルルスバードなどは飲泉のための温泉地であります。
ヨーロッパでも15世紀までは入浴が主であったが、火山帯が少ないため湯量が少なく、また泉温が低かったため、温泉地は発展しませんでした。また、ペストなどの伝染病蔓延や宗教的理由による社会背景などにより、入浴が身体を害するものとみなされ、入浴という習慣が敬遠されていきました。一方、ヨーロッパでは飲用水の質が悪く、そのため一部の入浴客は温泉水を飲用していました。これに目を付けた温泉地は瓶詰めにして売り出したところ、大変な評判を呼び、以後は”温泉は飲むもの”、すなわち飲泉が文化として根付きました。有名なエヴィアンやヴィシーなども温泉水です。日本においてもウィルキンソン・ジンジャーエールなどは初期に炭酸泉水を原料としていました。
またこれにより、温泉水を直に飲用したことで医療効果が鮮明であったことから、飲泉と医学がすぐに結びつくことになりました。これは日本の温泉が、流入した西洋医学の崇拝が妨げとなって、しばらく温泉療法が民間療法と見做されて研究が遅れたのとは対称的であります
今日温泉町として知られるバースやカルルスバードなどは保養地としても発展し、温泉病院や老後施設なども完備する。温泉による保養という点では日本と同じである。また、ホテルやレストランも建てられているが、中に入浴用の温泉は存在せず(ヨーロッパ、特に西欧や東欧は日本ほど湿潤でないことも入浴文化が発展しなかった大きな理由である)、代わりに飲泉場や飲泉バーが設けられている。
対してバーデンバーデンやスパなどのように入浴用として形成された温泉地も少数ながら存在します。しかし、いずれも日本の温泉のように「浸かる」という概念は存在しません。ドイツのバーデンバーデンは温泉としてより、むしろ付随するカジノやブティック、宝石店や高級ホテルなどによるリゾート地として発展しました。温泉はサウナやシャワーなどにも利用されるほか、共同浴場が設けられており、温泉水の大浴槽でプール感覚と同様に泳ぐ人も多いです。また、日本のように裸で入浴するという習慣はなく、水着を着用して入浴します。そのために、男湯や女湯と隔てることもない場合が多く、日本の温水プールのような具合で湯に親しむ場所となっています。
また、国際的な温泉地の固定名称にもなったベルギーのスパは療養向けに発展した温泉地です。温泉街の規模が小さく、ホテルの個室内に療養用のバスタブが設けられており、日本の湯治向け温泉に雰囲気が似ています。だが、湯船に入るのは専ら療養目的であるので、日本のように”ゆったり浸って疲れを癒す”という概念はありません。
ハンガリーでは古代ローマ時代から公衆浴場が建設され、2000年近くに渡る温泉文化を持っています。ブダペストは温泉に恵まれていて、また、温水湖(Heviz湖)も存在します。
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Last update:2022/12/6